中級者以上のアマチュアトランペット奏者、はたまた一部のプロトランペット奏者からも、
「この値段でこの音は(いい意味で)あり得ない…。」
と囁かれ続けている、クイーンブラスzorroトランペット。
(現在はさらに進化し、ZORROⅡトランペット、C-lineトランペットとなっていますね)
管理人もトランペット吹きのはしくれとして、本当に気になっていたんです。が、
実物を試奏できる店舗が本当に少ない!
(恐らく全国を探しても首都圏や関西圏で数店舗位か…)
という事で、いくら品質の向上がめざましい台湾製とはいえ、確かに通販では手に入りますが、試奏をしないで買うにはやはり慎重になります。
(通販で”大ハズレ”をつかまされないメーカーってヤマハの新品位ですもんね…)
値段的には送料込みで8~9万円前後とはいえ、いざ届いて吹いていみて
「なんかちょっと違う…。」
となると、やっぱりヘコみますしね。
なので先日、管理人、東京都内へ用がありまして行ってきました。そして時間を「無理やり作って」試奏してきました!
(管理人も試奏したくてしょうがなかったので)
その感想を紹介していきます。一部管理人の主観や好みが入っているところもありますが、どうぞご覧ください。
ちなみに管理人のトランペット歴はこんな感じです。参考にしてみて下さい。
- トランペット歴20年。得意なジャンルはロック・ポップのホーンセクション。プロを志していたこともあります
- 師匠はゴダイゴのバックでトランペットを吹いていて映画「スウィング・ガールズ」の音楽で日本アカデミー賞最優秀作曲賞を受賞された方
- 松岡直也グループや杏里さんのバックでトランペットを吹いていた方
お二人に2年間教わりました。
zorroトランペットに対する世間の声や評判はどう?
「世間の声や評判」の一例としてtwitterを覗いてみました。
やっぱりこういう声が載っていますね。
キャロルブラスのZORROトランペット、ブラックラッカーあって、指掛け全部リングで、しかもチューニング管が2種類ついて、ピストン周りヘビータイプに変えれて、なおかつ10万切ってるから、欲しくなっちゃうよね。
試奏さえ出来ればなぁ〜。— かくを。 (@knj_tp23) 2018年5月30日
「試奏さえできればなぁ~。」この気持ち、よ~くわかります。
次は管楽器専門誌 poco a pocoさんのツイート。練習スタジオ等で配られているフリーペーパーですね。
貴重な情報源なので、管理人も見つけた時は出来るだけ手に入れるようにしています。
@sawarom ZORROが発売された時も驚きでした!!!5万円でこのクオリティ!ってすぐ買ったんですよね、ZORRO。トランペットステーションで。今回の楽器はZORROではないのですが、名前出して良いか今は分からないので、是非、6月号でチェックしてみて下さい★
— 管楽器専門誌poco a poco (@pocobrass) 2012年5月26日
※注
2023年現在、円安などの影響もあり、zorroトランペットの実勢価格は税抜10万円台~となっております。
この2つのツイートもそうですし、管理人もそう思いましたし、やはり、
「良いらしいのはわかっているんだけど、試奏ができないのがなぁ…」
と言うのが、この記事をご覧になっているあなたを含む多くの方の「想い」なのではないでしょうか。
ということで、お待たせしました。管理人の「zorroトランペット試奏レビュー」まいります!
zorroトランペット 気になる”イエローブラスベル”と”レッドブラスベル”の違い
zorroトランペットには、2018年12月現在、
- ラッカー仕上げイエローブラスベル
- ラッカー仕上げレッドブラスベル(受注生産 店頭に並ぶことはほとんどない)
- 銀メッキ仕上げイエローブラスベル
- サテンラッカー仕上げ
- ローブラス仕様
他、かなりのバリエーションがあります。が、試奏できる可能性が高いのは、「ラッカー仕上げイエローブラスベル」だけじゃないかと言えます。
ですが、管理人がお店を訪れた時には、運よく「ラッカー仕上げレッドブラスベル」の試奏をさせてもらう事が出来ました。
ですので、この記事では、zorroトランペットの
- ラッカー仕上げイエローブラスベル
- ラッカー仕上げレッドブラスベル
を吹き比べた感想を書いていきます。
その感想なんですが、結果は意外なものでした。まずは下の表を見て下さい。
これはトランペットの材料である真鍮の種類により、どういう音色が出る傾向があるかを表したものです。
真鍮の種類 吹奏感 イエローブラス(七三黄銅) 明るく、張りのある音色 ゴールドブラス 幅のある豊かな音色 レッドブラス 柔らかく、落ちつきのある音色 (PIPERSより引用)
ちなみに「イエローブラスベル」「ゴールドブラスベル」「レッドブラスベル」の違いと言うのは、トランペットのベルの材料である、真鍮の成分である銅(赤)と亜鉛(黄色)の配合の比率の違いで、
銅の配合率が多くなるにつれ、真鍮の色が赤みを帯びてくるため、
- イエローブラスベル
- ゴールドブラスベル
- レッドブラスベル
となっていきます。
もちろん管理人もその先入観を持って、
- しっとり系のフレーズ(作曲管理人、その場で適当に吹いた)
- バリバリ系のフレーズ(どこかで聞いたようなものを適当に吹いた)
- pppからfffのクレッシェンド(蚊の飛ぶような音から、音が割れてもお構いなし。限界一杯の大きい音までのレンジ)
を吹きました。タンギングも、レガートタンギングから、かなりアタック強めの「カン!カン!カン!カン!」まで吹いています。
ですが、率直な感想として、「レッドブラスベルの方が輪郭がはっきりしていた」印象を受けました。
同じ事をイエローブラスベルでもやったのですが、むしろイエローブラスベルの方が大人しい印象を持った位です。
ただ、イエローブラスベルの方が「音が明るい」と言う先入観があって、無意識にセーブした可能性もあります。参考程度にしておいてください。
他社の代表的なトランペットと比べてどうなの?
さて、
「“値段の割には”良い音をしている。」
と言われるzorroトランペット。「他社製品と比べてぶっちゃけどうなの?」と言う所はやはり気になりますよね。特に、
- ヤマハ
- バック
- シルキー
あたりとの比較は気になる所ではないかと思います。と言う事で、この辺に関しても吹き比べてみました。それを書いていきます。
但し、つとめて客観的に比べたつもりではありますが、やはり「管理人の好み」があちらこちらに入ってしまっていることはご了承ください。
ではまずヤマハから行きます。
ヤマハトランペットとの比較
YTR2330,YTR3335(共にスチューデントモデル)
音程の取りやすさ、コントロールのしやすさではヤマハに軍配。実勢価格も似たような所なので初心者はヤマハを選ぶ方が無難。
但し音色、ダイナミックレンジの広さ、レスポンスの良さではzorroの勝ち。中学校や高校の吹奏楽部で吹いていた位の経験があれば迷わずzorro。
YTR4335
音程の取りやすさ、コントロールのしやすさではやはりヤマハに軍配。初心者なら迷わずYTR4335。
ただし、
- ペダルE(実音)~ハイB♭(実音)まで綺麗な音で吹ける
- 5度以上のリップスラーがゆっくりでもいいのでできる
- 音程感に自信がある
の3点を満たせば、zorroの方が吹いていて楽しいかもしれません。音色、ダイナミックレンジ、レスポンスの良さはいい勝負。
YTR6310Z
これは指向性も似ているし、いい勝負しています。そもそもYTR6310Z自体、初心者向けのモデルではないので、比べる人は中級者以上の人のはず。
値段の安さでzorroを選んでも後悔はしません。むしろチューニング管を選んで好みの吹き心地にできるという点で、zorroトランペットの方がいいかもしれません。
YTR8310Z
YTR6310Zの上位モデルとはいえ、2018年に改良が行われ第2世代となりました。
第2世代相手では、zorroトランペットに勝てる要素はありません。お金に余裕があるなら迷わずYTR8310Zです。
第一世代相手でも、ちょっと及ばずですね。
YTR8335XENOシリーズとYTR850シリーズ
指向性が違うので難しいところですが、音の厚みでzorroの負けです。クラシックを吹く事が多いなら、迷わずXENOかYTR850シリーズです。
但し、マウスピース選びをできるレベルの人なら、オーケストラはさすがに無理でも、吹奏楽なら使える可能性はあります。
バックトランペットのと比較
バック180ML37ストラディバリウス
あらゆる要素でzorroトランペットは勝てません…。クラシック、吹奏楽ではもちろん、パワーのあるビッグバンドのトランペット吹きなら、180MLの方がバリバリ鳴らし切れますから。
バック・ビンセント
これは管理人の独断になりますが、好みで選んでいいと思います。あくまで管理人の好みですが、ビンセントの音色はどうしても好きになれません。
ベルが2枚取りであるという先入観も手伝っているかもしれません。個人的にzorroトランペットに軍配。
シルキートランペットとの比較
悲しきかな管理人、地方在住なので、シルキーを試奏できるチャンスと言うのがほぼありません(泣)。
なので、大昔に吹いた記憶を頼りにという事になりますが、音色はやはりシルキーに軍配が上がります。が、
- そもそもシルキーのトランペットは値段が高い
- シルキーのトランペットはコントロールが難しい
- シルキーのトランペットは奏者を選ぶ(それなりのウデがないと吹けない)
- と言うか、シルキーを選ぶほどの「ウデ」と「財力」両方ある人がzorroを選ぶ理由が見当たらない
という事で、「比べること自体が間違えているかな…。」とも思います。なので注意なのですが、
「トランペット歴は浅いけどお金はあるし、シルキーは一流プレイヤーも使っているブランドなので、買って間違いないだろう。」
と言う理由でトランペット歴の浅い方がシルキーに手を出すのは絶対にやめましょう。
この例えで分かっていただければいいのですが、トランペット歴の浅い人がシルキーを買うという事は、
「初心者マークを取れたくらいのドライバーがスーパーカーを買う様なもの」
です。
気になるC-lineトランペットの比較
クイーンブラスのzorroトランペットとの比較をされるものとして、同社の
「C-lineトランペット」
がありますね。
元々は、zorroトランペットの進化系と言われている「C-lineトランペット」。
ひょっとして、あなたに、
「あれ?このレビュー記事、肝心なところが抜けているような気がするんだけど…。」
と思わせていたかもしれませんね。
- zorroトランペットの特徴とか
- なぜ「zorroトランペットやC-Lineトランペットは鳴る」と言われているの?とか
- なぜそこまで注目されているのか?とか
- 吹奏楽部でも使える?とか
その、「肝心な部分」をこちらの記事に書いています。
そして「zorroトランペットやC-Lineトランペットはなぜ鳴るのか?」と言う部分にも触れています。どうぞご覧ください。
⇒キャロルブラストランペットZORROⅡレビュー!C-Lineとの比較もあり
そして、zorroトランペットへの興味がムクムクと湧き上がってきましたら、ためしにこちらをのぞいてみてください。
Zorroトランペットラッカー仕上げ「イエローブラスベル」
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Zorroトランペットラッカー仕上げ「レッドブラスベル」
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銀メッキ仕上げイエローブラスベル
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最後に
いかがでしたでしょうか。
- zorroトランペット 気になる”イエローブラスベル”と”レッドブラスベル”の違い
- 他社の代表的なトランペットと比べてどうなの?
- 気になるC-LINEトランペットの比較
について書いてきました。
最後に、管理人が試奏した率直な感想を言うと、
「ある程度トランペットが吹けて、トランペットを選ぶ目を持っている人が、メインとは別に2本目として持つ用途のトランペットだな。」
でした。例えば
- 吹奏楽をやっていて、クラシック系の曲はメインのトランペットで吹き、ポップス系はzorroトランペット
- ビッグバンドをやっていて、高音が続く曲で唇やスタミナを持たせたい時に使う用のトランペット
- ロックやポップスのホーンセクションで、長いライブになりそうな時に、最後まで吹ききるためのトランペット
- クラシックやオーケストラをメインでやっている人が、ジャズやポップスを吹く必要に迫られた時の為のトランペット
という所ですね。
値段から考えると信じられない程いい音をさせているのは事実で、そして程よく軽く吹けるのがzorroトランペットのいい所です。
(軽すぎてもまた疲れるので)
つまり、あまり音色に妥協することなく、唇やスタミナの消耗を抑えられるトランペットという事ですね。
この記事が参考になれば幸いです。
その他、こちらでトランペット関連の記事をまとめています。ぜひご覧ください♪
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