キャロルブラスZORROⅡトランペット
現在は「クイーンブラス」ZORROⅡ トランペットと呼ばれています。
ホクソン社と眞田貿易とのコラボレーションによるブランドで、近年品質向上がめざましい台湾製の部品で組み立てられたトランペットです。
当初は初心者向けに作られたモデルだったのですが、価格からは信じられないような「鳴りの良さと音色」を備えた楽器として、
- ジャズを中心に演奏する中・上級アマチュアトランペット奏者
- また、オーケストラやジャズのプロのトランペット奏者
からも注目を集めるようになり、多くのトランペット奏者が情報を集めています。が、
- 取扱店が少ない事(試奏可能な店舗は全国でも関東圏の数店舗位)
- 一度在庫がなくなると2~3か月は入荷待ちの状態になるという事
から、なかなか詳しいレビューが出てこないのも事実です。
そこで管理人が(トランペット歴20年、プロのレッスンを2年受けました、但しブランクちょこちょこありです)、
ちょうどチャンスに恵まれたので試奏してきました。試奏できたのは全てラッカー仕上げで、
- ZORROⅡトランペットイエローブラスベル(通称黄ベル)
- ZORROⅡトランペットレッドブラスベル(通称赤ベル)
- C-Line トランペット(ZORROⅡの進化系と言われる機種)
の3種類。なるべく詳しく調べてきました。どうぞご覧ください。
ZORROⅡトランペットC-Lineトランペットの特徴を説明
まずは、特徴を説明していきます。ZORROⅡトランペット、 C-Lineトランペットの共通点として、
- 第一、第三抜差管とピストン部の指かけが全てリング状になっている
- ピストンのボトムキャップに若干重いものを付けている
- マウスパイプとベルをつなぐ延べ座の位置がかなり後ろにある
の3点。これは全て「鳴り」に関して見逃せない部分ばかりです。詳しく説明しましょう。
の前に、まずは、「ZORROⅡトランペット、 C-Lineトランペット」ってどんなの? という事で、画像を見て頂きましょう。
撮影してこなかったので楽天のリンクを借ります。
まずZORROⅡトランペット(画像をクリックすると楽天市場に飛びます)
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次にC-lineトランペット(画像をクリックすると楽天市場に飛びます)
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第一、第三抜差管とピストン部の指かけが全てリング状になっている
これはエリック宮城氏が、ヤマハYTR8340EMトランペットを開発した時にも話されていたことですが、(エリック宮城氏だけでなく、多くのプロトランペット奏者も言っています)
「指かけをリング状にする事で、振動が逃げないので効率よくトランペットを鳴らせる。」
と言う理論を、試験した結果採用したものと思われます。実際管理人も吹いてみて、「あ、なるほどな。」と納得させられる部分がありました。
リングにかけた指にきちんと振動が伝わってくるという感じでしょうか。
ただ、やみくもにリング状にすればいいのかと言うとそうでもない部分がありますので、鳴り方やバランスも考えての結果と思われます。
(リング状の方がいいのなら、全てのトランペットに採用されているはずですから)
ピストンのボトムキャップに若干重いものを付けている
ピストンのボトムキャップとは、「ピストンの下にネジでついている蓋」の事です(白枠で囲まれているもの)。
- ZORROⅡトランペットの場合は1,2,3番ピストン全てに
- C-Line トランペットの場合は3番ピストンだけに
若干重いものを付けています。
これは、管理人の推測になりますが、ZORROⅡトランペット、 C-Lineトランペット共、かなり「軽いトランペット(本体重量1,000g弱という所でしょうか)」の部類に入ります。
なので、バックのストラディバリウスや、ヤマハのXENOクラス(多分1,150g近辺)と同じようなセッティングにすれば、音が薄っぺらくなるのは分かりきっています。
その辺を補うためと、程よい抵抗を付ける(抵抗が少なすぎるとコントロールしにくくなるし、高音を出すのもきつくなる)、ために重いボトムキャップを付けていると思われます。
実際、ZORROⅡ C-Lineトランペット共、軽い割には結構芯のある音が鳴ります。
マウスパイプとベルをつなぐ延べ座の位置がかなり後にある
延べ座とはこれの事です(白枠で囲まれているもの)。
「かなり後にある」というよりは「わざと後ろに下げている」と言った方が正しいでしょうか。
ヤマハのトランペットでも、
- YTR8310Z
- YTR6310Z(アニメ「響け!ユーフォニュアム」で高坂 麗奈が使っているモデル)
- YTR8340EM(エリック宮城モデル)
の様な、チューニング管がリバース式になっているものは、延べ座がかなり後ろに来ていますね。
チューニング管がリバース式の場合、管の外側が動きますので、動きを邪魔しないためにも、延べ座を後ろにするのは仕方のない事です。
ですが、ZORROⅡトランペットの場合、チューニング管がリバース式ではないのに、延べ座はかなり後ろについています。なぜか?
やはりこれも「鳴り」を追求した結果だと思われます。
実は、また聞きですが、興味深い情報を手に入れています、グローバルの拝藤さん(XOトランペットの開発者として有名な方ですね)が、
実はB(ベー)管トランペットが鳴る”ツボ”のある延べ座の位置は一般的に採用されている位置よりもっと後ろだ。
とおっしゃっていたらしいのです。具体的な数字(何センチ)も教えてもらいましたが、
- 機種によりセッティングも違い、全てのトランペットに当てはまらない可能性がある
- 安易に延べ座を移動させて、「かえって吹きにくくなったぞ!」と言うクレームを受けたくない
- ジャズ用トランペットの”ツボ”の可能性もある
と言う事で、ここでは公開しません。ご了承ください。
またXOのトランペットを見て「この位置か!」と他社トランペットの延べ座の移動をするのもお勧めしません。
延べ座を移動させたことでバランスが崩れ、吹きにくくなる可能性が大です。
- プロのトランペット吹きのアドバイスと
- 腕の良いリペアマンとじっくり相談した上で
移動させないと大変なことになります。
つまりは、
- ZORROⅡトランペット
- C-Lineトランペット
共に、かなり「”鳴り”にこだわって作られたモデルである。」という事がうかがい知れます。
ZORROⅡトランペット C-Lineトランペットの違い
前の章までは、ZORROⅡトランペット C-Lineトランペットに共通する部分を書いてきました。
この章では、ZORROⅡトランペット C-Lineトランペットの違い、を話すと共に、
管理人が独断と偏見で決めた「ぶっちゃけどちらがオススメか。」についても書いていきます。
まず、「ぶっちゃけどちらがオススメか。」から行きましょう。
- ラウンドクルークのトランペットを吹いた事がないのなら迷わずZORROⅡトランペット
- ラウンドクルークのトランペットを吹いた事があるのならC-Lineトランペット”でも”いいかも
です。「ラウンドクルーク」とはトランペットのチューニング感の曲げ方の形の一つです。もう一つは「スクエアクルーク。」
ラウンドクルークの方が、丸みを帯びており、スクエアクルークの方が、やや角ばっています。
詳しくはこちらの画像をご覧ください。上がラウンドクルーク、下がスクエアクルークです。
一般的にラウンドクルークは、
「息の流れがスムーズで、高音を出しやすい反面、奏者によっては息を持っていかれる感じがする。」
と言われ、スクエアクルークは、
「程よい抵抗が得られ、芯のある音が出せる反面、奏者によっては”高音が苦しいしキツイ”。」
と言われます。
ZORROⅡ トランペットは、
- チューニング管を、スクエアクルークとラウンドクルークから選べる
- さらに、各管とも、支柱あり、支柱なしを選べる
事が特徴です(合計4本ついてくるという事ですね)。
支柱とはこれの事です(白枠で囲まれているもの)。
(「支柱の有る無し」は、抵抗や音の広がり方と関係があるとされ、少ないと抵抗が少なくなる半面、音が広がりやすいと言われています)
C-LIneトランペットの場合は、チューニング管はラウンドクルークのみとなります。但し、
- 支柱あり
- 支柱なし
は選べます(両方ついてきます)。
ZORROⅡトランペット C-Lineトランペット共に、すべてのチューニング管で試奏をしました。そして出した結論です。
管理人、実はラウンドクルークのトランペットをほとんど吹いたことがありません。そのせいか、C-LIneトランペットに、
「なんかちょっと違う…」
感を持ってしまったんです。ただ、ラウンドクルークのトランペットを全く吹いたことがないわけではないんですが、それでも、C-lineでは感じてしまいました。
なので、特に試奏なしで通販で買った場合ですね。
スクエアクルークのチューニング管のトランペットしか吹いた事のない人は、C-LIneトランペットは慣れるまでに時間がかかるかもしれませんし、合わないかもしれません。
ZORROⅡ トランペットの方はスクエアクルークのチューニング管もついてきますので、徐々に「ラウンドクルークに慣らす」事も出来ます。
実際管理人も、ZORROⅡ トランペットでスクエアクルークの支柱付きチューニング管で吹いた時が一番気持ちよく吹けましたので。
気になる「鳴り」や「音色」に関しては、ZORROⅡトランペットとC-Lineトランペットに差は感じませんでした。管理人の好みだけで言うなら、
「ZORROⅡトランペットの方が合うなぁ。」と思った位なので、参考にして頂ければと思います。
ZORROⅡ、C-lineトランペットを買ってはいけない人
最初に結論を言いましょう。ZORROⅡ、C-lineトランペットを買ってはいけない人、それは、
「吹奏楽コンクールに出場する学校・団体に所属していて、メインのトランペットにZORROⅡ、C-lineを使おうとしている人」
です。多分、顧問の先生や指揮者が、「ブランド」で拒否反応を起こす可能性が高いです。
(でも、顧問の先生や指揮者にナイショで丁寧に音を鳴らせられれば、「良い音だね~」と言われるとは思いますが。)
ZORROⅡトランペット、C-lineトランペットを実際に吹いてみて、管理人個人的にはZORROⅡに軍配を上げたわけですが、改めて、
「このクオリティでこの値段は信じられない!とても良いトランペットだ。」
と言う感想を持ちました。実際、ZORROⅡトランペット、C-lineトランペットを試奏した前後に、
- バック(180ML、ビンセント)
- ヤマハ(XENO、850シリーズ、8310Z、8335LA、4335、2330)
- XO(RVシリーズ、GXシリーズ)
- ストンビ(S1シリーズ)
と20本近くは立て続けに吹いており(ショップの店員さんゴメンナサイm(_ _)m)
少なくとも「最下位」の音色、鳴りではありませんでした。本当に「あとはブランドイメージさえあればなぁ…」なんですよね。
最後にあくまで管理人の好みとして聞いて頂きたいのですが、バックの「ビンセント」トランペットよりは、ZORROⅡトランペット、C-lineトランペットの音の方が好きです。
賛否両論あるでしょうが、あくまでも管理人の「好み」として書かせていただきました。
最後に
いかがでしたでしょうか。
- ZORROⅡ C-Lineトランペットの特徴を説明
- ZORROⅡトランペット C-Lineトランペットの違い
- ZORROⅡ、C-lineトランペットを買ってはいけない人
など、ZORROⅡトランペット C-Lineトランペットを書いてきました。
実は文字数の都合で、書ききれないことがまだたくさんあります。
イエローブラスベルとレッドブラスベルの違いとか、ピストンの感触とか。
後日、別記事にてアップします。
「トランペットは試奏してから選びましょう」
は、トランペットを買う上では鉄則なのですが、ZORROⅡトランペット C-Lineトランペットに関しては、
- 取扱店舗が極端に少ない
- 在庫が少ないので店頭に出していない店もある
- 運悪く売り切れだったら試奏できるチャンスもない
という事で、プロなどから推薦の言葉をもらっても、試奏ができないものだから、
「通販で買うのはギャンブルだよねぇ…。」
と思いながら手を出せない方が多くいらっしゃるのが現実だと思います。
管理人は充分試奏をしましたので、「ハズレ」の範囲がだいたい分かります。そして言えるのは、
値段を考えれば、通販で買っても大きく後悔することはない。
ということですね(但し、必ず保証付きのものを買ってください)。
この記事が少しでもお役にたてれば幸いです。
管理人が専門学校で勉強してきたトランペットにまつわる事、またその後いろいろ研究した事などを書いています。どうぞご覧ください。
これからもチャンスがあれば記事を増やしていきますので、時々覗いてみてくださいね~♪
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