テンポの速い曲で16分音符が出てくると、シングルタンギングでは苦しい場面がありますよね。
私はタンギングは苦手な方で、四分音符=120の16分音符のフレーズが出てくると音(ね)をあげてしまいます。そんな時には早々にトリプルタンギング、ダブルタンギングに逃げるのですが、中高生時代は練習方法も分からなくて、途方に暮れてましたね。
(ダースベイダーのテーマ(スターウォーズ)はトリプルタンギングでないとできないし、トランペット吹きの休日はダブルタンギングに逃げたい曲ですよね^^;)
その後、音楽の専門学校に行き、そこでトランペットを教わり、バークリー音大出身の先生から、トリプルタンギング、ダブルタンギングの練習のコツの様なものを教わりまして、トリプルタンギング、ダブルタンギングのコントロールの方法を身に着けました。
教わって以来、トリプルタンギングやダブルタンギングの練習がすごく楽になりましたね。
これから書いていくことは、そのコツの部分です。但し、あくまでも「私がおそわった」と言うだけで、人によっては解釈が分かれるかもしれません。
「こういう方法もあるんですよ」と思いながら読んでいただけると幸いです。
まずは充分なウォームアップから
まず、タンギングに入る前に、十分にウォームアップをしてくださいね♪ いきなりタンギングの練習に入ると、アンブシュアが狂って、音色に影響が出ます。では、どんなウォームアップをすればいいかというと、
これとか
これとかです(Cの半音階ですね)
必ずメトロノームを使ってやってください。練習の時は何をやるにもメトロノームを使う。これを習慣づけてください。メトロノームを使わずにいくら速くできようとも、パートでそろうことはありません。
極論を言えば、メトロノームを使わない、ありとあらゆる練習は、やっても意味がないと言っていいでしょう。
ウォームアップではロングトーンもやりません。ロングトーンはウォームアップではなく、立派な”練習”です。音色、音程を、ずっと安定させていなければならないのですから。唇にかなりの負担がかかります。
重量挙げの選手が、ストレッチやウォームアップもせずに、いきなりバーベルを挙げるのと同じ行為です。なのでロングトーンも、ウォームアップが終わってからやるようにしましょう。
トリプルタンギング、ダブルタンギングの方法
私の場合は トリプルタンギング、ダブルタンギングとも、専用の練習曲を使いましたが、今は楽譜のみが残っており、先生がどの教本から引っ張ってきたのかもわかりません。
なので、ここでは、どこの学校にも必ずあるであろう「アーバン金管教本」を題材にして説明していきたいと思います。
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トリプルタンギング
なぜ、トリプルタンギングが先かというと、ダブルタンギングをマスターしてからトリプルタンギングをマスターしようとすると、なかなか舌が言うことを聞いてくれないからなんです。
逆にトリプルタンギングを先にマスターしてから、ダブルタンギングの練習に入るとスムーズにいくことができます。アーバン金管教本でも、トリプルタンギングの方を先にやってますね。
アーバン金管教本ではトリプルタンギングをかなり速いテンポでやるよう指定していますが、これは最初のうちは無視してもいいと思います。なぜなら、トリプルタンギングをやる以上、音の粒をそろえないと意味がないから。
四分音符=72位からでいいでしょう、これでも逆にゆっくり過ぎて難しいかもしれませんが、音の粒をそろえるつもりでやりましょう。
それから、アーバン金管教本では「tu tu ku」と発音していますが、これだと舌に不要な力が入ってしまい、アンブシュアが狂うことがあるので、
「du-du-ga-du-du-ga-du」(ズズガ ズズガにならないように)
と発音したほうが経験上、良い結果が得られました。
慣れるまではレガートタンギングでやりましょう。息をまっすぐ出しっぱなしにして、舌でせき止めるイメージです。慣れてきたら音を短く切ります。
必ずメトロノームを使い、音の長さ、粒をそろえられるテンポでやる。大切なことは、より正確に“やり続ける事”。そのためには、余裕をもってタンギングできるテンポで、より長い時間練習を続けることが大事です。
「無理なテンポでやって、8小節でバテました」では、練習の意味がありません。いかに長く続けられるかが重要です。
慣れてきたら徐々にテンポをあげ、長く続けられる限界一杯のテンポで練習し続けましょう。そして徐々に限界を伸ばしていくのです。
ダブルタンギング
ダブルタンギングは、比較的速いテンポでできる方も多いと思いますが、これも、音の粒がそろわなければ意味がありません。
なので、ダブルタンギングも、音色を気にしながら、最初はテンポ四分音符=72位から始めたほうがいいと思います。
発音も「tu ku tu ku」だと口に力が入ってしまうので「du ga du ga」ですね。「ga」の発音がぼやけると思いますが、力まず、発音に慣れるまで気長に練習しましょう。
こちらもレガートタンギングです。レガートタンギングでなれたら、徐々に音を切るようにしていきましょう。
ダブルタンギングもトリプルタンギングと同様、必ずメトロノームを使い、ゆっくりから徐々にテンポを上げていき、長く続けられる限界いっぱいのテンポで、練習をやり続けましょう。
こちらも、慣れてきたら、徐々に限界を上げていきましょう。
メトロノームはお友達
タンギングの練習をするときは、必ずメトロノームを使ってください。難しいと思いますがこれだけは必ず守ってください。
なぜなら、一定のテンポでできていない、トリプルタンギング、ダブルタンギングなど、合奏では全く役に立たないからです。
タンギングの練習は、必ずメトロノームを使用してやること。
- メトロノームにぴったり合わせるのは第一段階
- メトロノームのテンポにのって、気持ちよくタンギングするのは第二段階
そして、メトロノームを卒業し、頭でテンポを取るのではなく、体が勝手に正確なテンポをとり、それに沿ってタンギングができるようになれば、合奏でも、きちんと粒のそろったタンギングができるようになります。
ちなみに私はドラムマシーンを使ってタンギングの練習をします。ドラムマシーンの方が楽しく練習できるもんで^^;
最後に
トリプルタンギング、ダブルタンギングの練習方法について書かせていただきました。最初にレガートタンギングでやるというのは重要で、これをやるとやらないでは、上達のスピードが違います。
また、遅いテンポでトリプルタンギング、ダブルタンギングの練習をやるというのは、音の粒をそろえるという意味ですごい練習のし甲斐があります。
シングルタンギングでも余裕でできるフレーズをあえてトリプルタンギング、ダブルタンギングでやることで、よりトリプルタンギングやダブルタンギングのコントロールができるようになってきます。
そうするとテンポの速い曲で、早い3連符や16分音符が出てくる曲でも、余裕をもってやれるのがありがたい♪
あくまでも、私はこういう練習をやってますというものではありますが、参考になれば幸いです^^
コメント
早い譜を「トリプルタンギング、ダブルタンギングで
逃げる」というのは、いささか違うと思います。
ピアノでも、同一音を早い速度で連打するときは
指を変えながら鍵盤を叩きます。
これを逃げてるとは言わないです。れっきとした奏法です。
tktkの時、k発音の歯切れが悪くなるのでここに
注意が必要かと思います。
以上、おせっかいかと思いますたが一言。
安藤 紀好様
貴重なご意見ありがとうございます。
プロの演奏するトリプルタンギングやダブルタンギングは、シングルタンギングと聞き分けられないほど精度の高いものです。あそこまで極めれば立派な奏法ですね。
対して、管理人がそうなんですが、おっしゃる通りk発音が甘い。そこで自戒の意味も込めて”逃げる”という表現を使いました。
「精進が必要だな~。」と思いながら、日々練習しておりますが、なかなかうまくいかないものですね。