どの楽器でもそうなんですが、試し吹きや、初心者が必ず口にする言葉があります。
「ドレミファ(音階)ってどうやるの?」
楽器に触れた人が10人いたらまず間違いなく10人が口にする「ドレミファってどうやるの?」
クラリネットやフルート、サックスみたいに、沢山押さえるキーがあればだいたい想像ができますが、トランペットはじめ、金管楽器って、大概押さえるキーが3つか4つしかありません。
これでどうやって「ドレミファ」を出しているのか?触ったことのない人には想像もできないわけです。
そこで、この記事では、トランペットの「ドレミファ(音階)」を出す方法と、変え指というちょっと高等なテクニックを使い、音階をマスターすることはもちろん、
- トランペットの響きをよくする方法
- 唇の耐久性をあげる方法
を書いていきたいと思います。
「なぜ音階練習で唇の耐久性があげられるの?」それはこの記事を読み進めていくと分かります^^
トランペットってどうやって音階出すの?
トランペットは基本、押さえるピストンが3本しかありません。(一部4本のトランペットもあります)
これでなぜ、音階を出せるかというと、同じ運指で出せる音がたくさんあるんですね。たとえばピストンを押さえない状態、ここでは仮に0番とします。
これでも下図のように出せる音が7つあります。3本のピストンのいずれか一本を押さえた状態でも別の音が7音出ます。これを組み合わせることによって「ドレミファ(音階)」の演奏を可能にしているのです。
(疲れてくるとHi-Cを狙ったつもりが、Middle-A#に外してしまうというのは良くある話です^^;-閑話休題-)
これがトランペットのピストン番号と運指表です。トランペットをかまえたときに手前から1番ピストン、2番ピストン、3番ピストンとなります。運指表と音符をじっくり見ていくと、同じ番号が出てくるのが分かると思います。
ただ、トランペットの場合、なまじおなじ運指でたくさんの音が出るために、初心者のうちは目標の音に当てるのが難しく、演奏をすると、すぐに唇がつかれてしまい、目標の音を出せなくなるということが起こります。
疲れてくると、音を外し始めます
唇がつかれて、目標の音が出せなくなる状態。これを音を外すといいます。
トランペットの演奏に慣れてくると、忘れてしまいがちなのですが、初心者のうちは、ピストンを押さない0番の状態でも音を出すのが精いっぱい。ピストンを1本でも押すと、鳴らし方がマスターできていないため、全く音が出なくなります。
トランペットを一度でも吹いたことがある方なら分かるでしょうが、慣れないうちは、トランペットに息が入らず、ものすごい抵抗に苦しみます。
トランペットを振動させる”コツ”が身についていないからですね。そして、ある程度吹けるようになってきても、唇のコントロールができず、トランペットを吹くための唇周りの筋肉がすぐに疲れてしまい、思った音に当たらない。
学校の吹奏楽部で、先輩方にしごかれながら練習していると、いつの間にか、唇周りの筋肉も鍛えられ、音を外す確率は減ってくるのですが、それでもある程度コントロールできるまでに3か月はかかるでしょうか。
私の場合は、Middle”G”とMiddle”A”の間に大きな壁があって、なかなかMiddle”A”が当たらなかった覚えがあります。Middle”G”とMiddle”A”、両方指使いが1,2番ピストンなものですからMiddle”A”を何度狙っても、つまったMiddle”G”がでてしまって、苦しんだ覚えがあります。
この練習で音を外す確率が減ります
基本運指で音階練習をやっていて、疲れてくると、指使いは合っているのに、思った音が出なくなってきます。これを音を外すというのですが、唇が疲れてくると頻繁に起こってくるようになります。では、なぜそのようなことが起こってくるのでしょうか?
それは、冒頭で説明したように、一つの指使いで、複数の音が出るからなんですね。唇が疲れて、狙った音にあたらなくなり、1音、2音、3音、下の音にあたってしまう。
これは、確かにミスなんですが、発想の転換で、このミスを練習にしてしまうと、トランペットのテクニックが上がります。この練習を”変え指”といいます。
外した音をわざと出すようにするのです。
変え指というテクニックを駆使しましょう
変え指というテクニック、これをやると、
- 唇に耐久力がつき音を外しにくくなる
- トランペットの響きが良くなり
- ついでに和音の感覚も磨かれる
というメリットがあります。基本運指をマスターしたらぜひ、挑戦していただきたいです。
変え指を使った時に、よく耳を澄ませて、聞いてほしいのですが、基本運指と同じ音を出しているにもかかわらず、
- 音の響きが違ってくる(つまった感じになる)
- 音程が微妙に違ってくる
事に気が付くと思います。これを修正するつもりでやっていくのです。
- つまった音を音抜けを良くするつもりで吹く(吹き続けると慣れてきて自然に抜けるようになります)
- 音程の補正をする(音感が良くなり、和音が合わない時に変え指で合わせるテクニックが身につきます)
これをやるためのメソッドです。テンポは四分音符=100位から、メトロノームを使い、響きに注意してやってみてください。意外とハードですよ。もし、息が持たないようなら、2小節ごとに4拍のブレスを入れてもいいです。
最後に
ここでは、トランペットの音階の出し方と変え指をマスターするメリットを書いてきました。私も中高の時は基本運指での音階をやっていましたが、専門学校に行ってから、変え指の練習もするようになりました。
変え指でトランペットを鳴らすことで、音ムラが減ったのは事実です。基本運指で音階やっても音程が狂わなくなったし、どの音も均一に抜けるようになりました。あとリップスラーやリップトリル(シェイク)がきれいに鳴るようになりましたね。
吹奏楽でも特に和音を担当するホルンは、きれいな和音を出すために変え指を多用するようです。変え指を使って同じ音を何通りもやってみると、微妙に音程、音色が違うんですよね。それを和音によって使い分けて、きれいな響きを出す。
トランペットでも、特に
の音は高くなりがちで、普通は12番ピストンを押して抜差管で音程を微調整しますが、合わなそうな場合3番ピストンの変え指で音程を合わせることもします。
ところが普段基本運指での練習しかしていないと、こんな和音で変え指を使わなければならない時、和音がにごってしまうんですね。
なので、基本練習の合間でいいので、変え指の練習をしておくと、よりよい響きを出すためにとても役立ちます。
初心者の方は基本運指をマスターするのが先ですが、音出しに慣れて来たら、変え指の練習もぜひやってみてください♪
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