私がトランペットに触れるきっかけになったのは、中学校の吹奏楽部でした。小学校の頃に近くの中学校の吹奏楽部の定期演奏会を見に行き、そのパワフルなサウンドに魅了されました。
でも、この時は、サウンドに魅了されただけで、まさか自分が吹奏楽部に入るとは思ってもみませんでした。
私が中学校に入学し、部活見学して、科学部か吹奏楽部がいいと、家族に伝えたところ、家族会議で
「科学部は地味。吹奏楽部の方が派手でよい。」という結論で吹奏楽部に決定。吹奏楽部に仮入部。もう入部すると決めていたので、2週間の仮入部期間ずっと、吹奏楽部に行ってました。
入部したはいいですが、担当する楽器がなかなか決まりません。サックス、トロンボーン、トランペットとたらいまわしされ、結局トランペットに落ち着きました。別に口がトランペット向きとかそういうのじゃなくて、単に人がいなかったから。
私が入部した当時のサックスはまだ、チェッカーズが出てくる前で、吹奏楽部では”女子の吹く楽器”と言われていました。今考えてみると、先輩方の口車に上手いことのせられていたような気もするんですが、「女子の楽器はやだな~」と軽い気持ちでトランペットをOKしました。
それから仮入部期間が終わり、本入部へ。仮入部期間が終わった途端に態度が厳しくなった先輩に「あ~あ」と思いながらも、トランペットの練習が始まったのです。この記事では、
- 中学から始めた吹奏楽部でトランペット初心者時代にやっていたこと
- 音楽の専門学校に行って、フォーム改造を行い、再び初心者に戻り、そこからどんな変化があったか。
を書いていきたいと思います。
中高の部活で初心者時代 一生懸命やっていたこと
最初の頃はLow”C”のロングトーンをひたすらやり続けました。
理由は簡単、この音しか出せなかったからです。音はもちろん汚くて。タンギングをしようものなら、確実に音は出ませんでした。1か月くらいはこの状態が続きましたね。
その結果、Middle”C”を出をだせるようになるのが、ものすごくきつかったです。ゆるいLow”C”に慣れてしまった唇にはものすごい負担でした。
今でこそ最初に覚える音はLow”G”がいいと言われていますが、当時は、先輩方もそういう理論も情報も持ってなかったので、Middle”C”が出せなかった私に「下手くそ!」と言うしかなかったようです。
まともに曲をできるようになるまでに、1日2時間練習で、3か月はかかったでしょうか。その間やった事というと、
- Low”C”からMiddle”G”までの音階
- アーバン金管教本1巻の最初の簡単な練習曲
- 腹筋100回
- 1、5㎞のジョギング
は鮮明に覚えています。その結果、上がMiddle”C”からMiddle”G”まで、出せる音域が広がりました。
Low”C”からMiddle”G”までの音階
3か月目にしてやっと音出しのコツをつかんできたというか、Low”C”からMiddle”G”までの半音階(クロマチック)が出せるようになりました。それを上がったり下がったりパラパラとやってましたね。
アーバン金管教本1巻の最初の簡単な練習曲
中学校にあったアーバン金管教本の最初の方を練習してました。Middle”G”まで出るようになったので、何とかこなせるようになりました。
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腹筋100回
腹筋100回3か月、毎日やってました。先輩に「やれ!!」と言われて。ただ、当時は有効な練習法とされてましたが、現在では腹筋だけ鍛えても意味がないというのが多くの意見です。
1、5㎞のジョギング
毎年、吹奏楽部恒例の体力づくり月間が1か月あって、その時にやったものです。これもエリック宮城さんによると、
「そんなのやってる暇あったら、トランペットの練習していた方がいい。」
そうで、今ではすたれ気味ですが、当時は情報もなかったので闇雲にやっていました。
そして1年で、何とかほかのパートの同期にも追いつき、「下手くそ!」と言われなくなりました。ただ、この時もまだ楽譜は読めませんでしたが、絶対音感を持っていたので、先輩の演奏を耳コピしてしのいでました。
大変なのは最初の1年だけでしたね。中学2年目から高校3年間は、順風満帆に進んでいきました。高校でやった事といえば、ハイノートの範囲を伸ばすことくらいでした。
最高でHi”G”までだせましたね。
周囲からも「上手い、上手い」とおだてられ、より技術の向上を目指すべく、音楽の専門学校へ進学したのです。ところが、その専門学校で、一時、音が出なくなるほどの徹底的なフォーム改造を受けることになります。
この記事を見ていただいているあなたにはそうなってほしくないので、どのような状態になっていると改造されるか、書いていきたいと思います。
専門学校でフォーム、音出しから矯正され 初心者に戻る
専門学校へ進学したことで、私は初心者に戻されることになります。バークリー音大出身のプロからレッスンを受けられる環境だったのですが、
- フォームが違う
- 呼吸法が違う
- 音の出し方が違う
- アンブシュアが違う
違うことだらけで、それを1つ1つ矯正していくと、また音が出なくなりました。この時はさすがにショックをうけました。
「中高6年間で教わったり身に着けたことは一体何だったのか…」と。
でも、でもその状態は、ほんの1か月位の事でした。違っていたところを直したことで、今まで出せなかった音色や音域が出るようになったのです。
具体的に
- 音色が変わった
- 2オクターブの跳躍ができるようになった
- 音を外すことが格段に減った
- 高音をきれいな音で鳴らせるようになった
です。
音色が変わった
中学の仮入部の時、サックスも試奏したせいで、下唇を極端に丸めたアンブシュアで中高と吹き続けていました。専門学校で「タンギングが不鮮明」「音に張りがない」という指摘を受けて直したものです。
直した後は中高時代ずっと思い続けていた「レコードの音色と自分の音が違う」という悩みが解決されました。
2オクターブの跳躍ができるようになった
中高時代はLow”C”からHi”C”までの2オクターブの音階ができず、途中で唇をセットしなおしてましたが、アンブシュアを矯正してからは2オクターブの音階を一気に駆け上がることができるようになりました。
音を外すことが格段に減った
中高時代は特にハイノートで音を外すことが多かったですが、呼吸法を直したことで、ハイノートに余裕ができ、音を外すことが格段に減りました。HiCは、どんなに唇がつかれていても、出せて当たり前の音になっていました。
高音をきれいな音で鳴らせるようになった
これも呼吸法を直したことで、高音を余裕をもって出せるようになり、きれいな高音を手にすることができました。こちらもHiCまでは余裕をもってだせましたね。
それでは、1か月かけたフォームの改造で、なぜここまで変化が起こったか。どんな練習をしたのかを次の章で、お伝えします。
私が専門学校で教わり、改造した内容
アンブシュアの矯正
下唇の極端な丸め込みをなくし、普段、口を閉じている状態に矯正。それと共に、上の歯と下の歯がかみ合うように、下あごを気持ち出す様にしました。
そして、下あごを前後に動かす練習をしましたね。但し、顎を出すとき、唇がビロ~ンとなってはいけません。
たとえるなら、志村けんさんの「アイ~ン」の唇を横に引っ張らないフォーム。あれが当てはまります。ハイノートに行くにしたがって顎が前に出てくるようにしたのです。
これで不鮮明なタンギングが直り、音に張りが出て、2オクターブのアップダウンに耐えられるアンブシュアになりました。
フォームの矯正をして 呼吸法が変わった
中高でも、息を限界まで吸ったり、出したりのトレーニングはしていましたが、力を入れるポイントを矯正することで、もう1ステップ、限界が伸びました。
一番大きかったのは肩。それまでは息を吸うと肩が上がっていたのですが、これを肩の力を抜いて、息を吸うと肩が後ろへ下がるようにしました。これで
「すうううう~(肩の力が抜けて)すっ!」ともう一段入る手ごたえを感じました。この呼吸法に直してから、音を外す回数が劇的に減りました。
音の出し方を変えた
これも呼吸法に入るかもしれませんが、音を出すための、体の筋肉の使い方を変えました。ウォームアップのメニューにストレッチを加え(ラジオ体操第一で十分です)筋肉をほぐし、体全体で音を出すイメージを作りました。
音を出すときの力点は、おへそのあたりに設定し、他の部分は、力を抜き、バネにするようなイメージ。これで、音が太くなり、ハイノートも楽に出せるようになりました。
これらの練習方法は初心者さんにアリかナシか?
専門学校に行ったことで、正しい知識も手に入り、初心者さんにもシェアできる事ができてきました。具体的に以下の4項目について、説明しようと思います。
マウスピースを使う練習
初心者さんに向けてというのなら「ナシ」です。マウスピース単体で鳴らすと、「アヒルの鳴き声」みたいな音が出ますよね。では、実験なんですが、トランペットを吹きながら、マウスピースをトランペットから外してみます。すると、マウスピースからは息の音しかしないんです。
つまり、マウスピース単体で鳴らすのと、マウスピースをトランペットに着けて吹くのでは、違う吹き方をしているということ。
ウォームアップや唇の筋肉をほぐすのに、短時間軽く吹くのならいいですが、練習といって長時間吹くのはおススメしません。
高音の練習方法
これも初心者さんに向けてというのなら「ナシ」です。まずLow”G”を豊かに鳴らすことから入り、次にLow”C”からMiddle”C”をきちんとならせるようにする方が先です。Low”C”からMiddle”C”がきちんとなるようになったら半音ずつ高音側へ音域を広げていきましょう。
練習場所(消音ミュートは使っていいか等々)
練習場所に関しては、吹奏楽部に入っていれば困ることはまずないでしょうが、さらに個人練習をしたいという方のために言うと、
まず、初心者さんには、ヤマハ・サイレントブラスなどの消音ミュートは、理想を言えば「ナシ」です。オープンで吹いたときとの吹奏感があまりにも違いすぎますので。でも、環境によっては、使わざるを得ないという人もいるでしょう。
個人練習はしたいけれど、近所にスタジオやカラオケボックスがない。借りるおこずかいがない等。
消音ミュートを使って毎日個人練習するのと、使っちゃダメと言われたからと言って、スタジオやカラオケボックスなどで、不規則な周期で練習するのでは、やはり毎日音を出したほうがいいですから。
だから、あくまで、初心者さんには、理想を言えば「ナシ」です。音を出す環境がなければ「アリ」です。
あと、公園とか、河原なんてのもありますが、初心者さんにはハードル高いですね。何よりも慣れるまでが恥ずかしい。私も経験がありますが、都市部では、気にも止められないんですが、田舎でやってると、来るんですよね…野次馬が。
なので、度胸のある方向けです。ただし屋外での練習は、やると、音の伸びが良くなるというメリットがあります。
練習曲やフレーズ
初心者さん向けの、練習曲やフレーズというのはたくさんありますが。初心者さんが100人いれば、100通りの練習曲やフレーズが必要になります。実際にどの辺が問題か、この目で見ないと分からないので「この練習曲がおススメ」といいきれるものが、残念ながらありません。
最後に
私が2度のトランペット初心者時代、何をやってきたのか、書かせていただきました。
ぶっちゃけて言うと、私はトランペットが下手でした。音自体が出るまでに1か月はかかったでしょうか。それも当然汚い音です。それまでは息が出るばかり、マウスピース単体でも、トランペットを構えても。
「吹奏楽部始まって以来の下手くそ」
とも言われました。当然ですね。ほかのパートの同期たちは、音が出せるようになっていて、教則本や曲をやり始めていたのですから。
でも、1年もやってたら、気が付いたら、ほかの同期と同じくらいにやれるようにはなってました。吹奏楽部という環境で、否応なしに練習しなくちゃならなかったので、当然といえば当然なんですが。
私たちの頃はインターネットなんて言うものがなかったので、「情報を検索する」なんてこともできずに、ただ先輩の言うことを聞くだけしか手段がありませんでした。
なので、初心者さんに合った情報というのもなかなか手に入らなくて苦しみましたね。
今はインターネットで検索すれば、いろいろ情報が出てきます。なので、その中から、自分に合いそうなものを取捨選択していけばいいと思います。
最後に「トランペットは吹けるようになるまでがつらいけど、吹けるようになるとチョー楽しいよ♪」という言葉を贈って、この記事をしめたいと思います。
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