今年もお盆がやってきます。
例年なら、親がやってくれていたよそ様への、お盆のギフト、贈り物。今年は訳あって私が引き受けることになりました。贈るものはだいたい決まったのですが、のしをどうすればいいか、考えあぐねています。
地元の東北地方に関してはわかるのですが、関東にも、関西にも贈らなくてはならないので、その地域のしきたりというのもあるでしょうし。もしも、違っていたらたいへんですからね。
そこで調べてみると、まず「のし」という言い方が間違えているという事実にぶつかりました。
お盆のギフトに”のし”は使わない?
のし、のし、といわれていますが、厳密にいうと、仏事にはのし紙は使用しません。のし紙とは祝い事(慶事)に使われるもので、赤白の水引きの右上にある六角形のものを「のし」といいます。紙のことを言うんではないんですね。ですので、仏事に使うものは正確には「のし」と呼ばずに「掛紙(かけがみ)」といいます。
また、弔事の場合、掛紙をかけてから包装紙をかける「内のし」で贈るものですが、「お供え」の場合だけは包装紙の上に掛紙をかける「外のし」でお贈りします。
また、弔事用は慶事用(結婚などのおめでたい事)とは包装のやり方がちがうのですが、これはデパートや大型スーパーで「お供え物です」といえばやってくれるでしょう。
お盆の、のし(掛紙)の種類、地域によって違う
お盆のギフトの、のし(掛紙)の種類、まず、東北地方では黒白の結び切りを使います。調べてみると、全国的にも主流のようですね。関東にも黒白の結び切りで贈ろうと思います。
関西の方は黄色と白の結び切りですね。調べてたところ北陸も黄色と白のようです。関西、北陸は黄白の結び切りの掛紙で贈った方がよいでしょう。
調べてみたところ、まず、そもそも黒白の水引を使うようになったのが、欧化政策がすすめられた明治以降になってからの事。この時に全国に広まったんですね。
但し、京都や京都の文化の影響を受けたところでは、かつて天皇のいたところですから、皇室で使われる“紅白の水引”と見間違えるため避けられました。
なぜかというと、皇室で使われる紅白の水引の紅の色は赤い染料を使用してはいますが、染め上がりは玉虫色といわれる濃い緑色をしていて、”紅白”といいながら、実際には”黒白”に見えるのです。
皇室の行事で使われるものと、不祝儀で使われるものが同じ色に見えるのはやはり、縁起でもないということで忌み嫌われ、京都の影響を受けたところでは、黒の次に尊い色といわれる”黄”が選ばれ、“黄白”の水引、結び切りが使われるようになったのですね。
関西の方は黄色と白の結び切りですね。ただ、近くのスーパーにあるかどうかがあやしいので、デパートにも行って見る必要がありそうです。もしない場合は白黒の結び切りですね。
話少々横にそれますが、関西の親せきに聞いたところ、やはり関西、北陸以外の地方から贈られてくるお供えには、黒白の水引も見受けられるそうです。やはり用意できないスーパーやデパートもあるんでしょう。
墨は薄墨でなくてもいいの?
のし(掛紙)の表書きは「御供」または「御供物」と苗字を書きます。書く方によっては、苗字を薄墨で書く方もいらっしゃるようですが、お盆のギフトの場合は、濃い墨で書いても問題ありません。
不祝儀の名前には薄墨を使うと言われているのに、お盆は濃い墨で良いのは何故でしょうか? これも調べてみました。
まず、調べて最初に分かったことは、不祝儀は薄墨でなくてはならないというルールは存在しないということ。これは全国各地で通用するもので、とらえ方によっては濃い墨のほうが故人を思いながら丁寧に墨をすったということで好意的に受け止める方もいます。
が、どうやら、「故人を思う涙で墨が薄くなってしまった。」といういわれが広まったせいで、「薄墨でも仕方ない」が「薄墨でなければならない」と誤解されて広まったようです。実際は濃い墨で書いても全く問題ありません。
正しくは「不祝儀は薄墨でも仕方ないが祝儀は必ず濃い墨で書かなければならない」ということです。但し、京都では不祝儀でも必ず濃い墨が使われます。
最後に
贈答用にかける紙の事を「のし」と何気なく言っていましたが、厳密には「掛紙」というんですね。これは私も今回調べたこと初めて知りました。ですが、デパートや大型スーパーで「お供え物」です。といっても
「”のし”はどうしますか?」
と聞かれるでしょうね。逆に掛紙ときかれても多くの人は「???」だと思います。ですので、これは知識程度にとどめておけばよいでしょう。ただし、水引きの色(関西・北陸→黄白、その他→黒白)は、こだわりたいところです。
冒頭の訳あってというのは、お盆の贈り物を一手に仕切っていた母が、体調をくずして、できないというものです。
母に聞けばいいんですが、体調を崩しているのに、余計な心配かけさせるのもなんだなと思い、自分で調べられるところまでは調べ、最後のチェックだけお願いしようかと思っていたところです。
しかし、今回、調べてみて、のし(掛紙)一個とってもこんなに難しいのかと、驚くとともに、改めて親の偉大さを感じた次第です。
これは大変です。本当に…。
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