「あんれぇ、帰んのかい。んではぁ 今”ハイヤー”呼ぶがら、待ってらい^^」
懐かしき昭和の田舎の風景。一人に一台車が持てるなんて時代が想像もできなかった頃、汽車の駅まで、遠い距離にあったお宅のアシはバスか、呼び出しのタクシーでした。
田舎には流しのタクシーなんてものはありませんでしたから。タクシーを呼ぶときはタクシー会社に電話して、家まで迎えに来てもらっていたのです。もちろん料金はタクシー会社から家までの分も発生してましたので、特に年配の方はこの呼び出しタクシーを、
ハイヤー
ってよんでましたね。料金体系がハイヤーそのものでしたから。でも、都会のハイヤーは料金体系こそ田舎のハイヤーと同じでも、車の質が全く違う。それを知ったのは私自身も、上京してからの事でした。
タクシーとハイヤーの違い
厳密にいうと道路運送法において、タクシー、ハイヤーの区別って、実はされてないんです。なので、過疎地での「流し」はもちろん、駅やタクシー乗り場ですらも、お客が来ることが期待できない場合は、タクシーと呼び名はあっても、車は基本営業所で待機、お客からの電話呼び出しなどに応じて「ハイヤー料金」で運用していることが多いです。実際「○○ハイヤー」とタクシー用の車を使いながら、堂々とハイヤー会社をうたっているところもありますから。
だから、都市部と地方では、タクシーとハイヤーのポジション、考え方がだいぶ違うんですよね。
東京に限らず、都市部に行くと、「タクシー」は駅前や、タクシー乗り場でいわゆる「客待ち」をしているか、道路を走りながら、手をあげてるお客を探す「流し」をしてお客を運ぶ公共交通機関ってポジションですよね。
対して「ハイヤー」といえば、「客待ち」や「流し」は行わず、基本的に営業所に待機、お客の電話などでの呼び出しに応じて、お客の待っているとことまで迎えに行き、お客の希望する場所に横付けする「ドア to ドア」が一般的。
その他にも
- 料金はどのように課金されるか
- 営業方法
- 料金体系
- 代表車種
- 外観の特徴
などにも違いがあります。では、それぞれの項目について、タクシーとハイヤーの違いを説明しますね^^
料金はどのように課金されるか
- タクシー→料金メーター
- ハイヤー→賃借払い
タクシーはタクシーメーターという機械でリアルタイム、かつクリアに料金が加算されるのに対して、ハイヤーの場合は、あらかじめ利用頻度、送迎区間、車種、希望乗務員などの要素を加味してハイヤ‐会社(タクシー会社と兼務しているところが多い)に見積もりを取られ、料金が決まる。
営業方法
- タクシー→お客が拾う。
- ハイヤー→お客が呼びだす。
タクシーは駅前、タクシー乗り場、または人通りの多い道などを走行して、お客を積極的に拾いに行く、”攻め”の営業なのに対し、ハイヤーは営業所で待機して、契約者からの呼び出し、事前予約、などで動く”待ち”の営業。
料金体系
- タクシー→お客が乗ったところから降りたところまで
- ハイヤー→基本的に時間貸し
料金はどのように課金されるか。の項目とかぶる部分もあるが、タクシーは乗った分だけ料金が加算されるのに対して、ハイヤーは、あらかじめ料金が設定されていることが多く、賃借契約の場合は、多く乗っても、少なく乗っても、料金は同じということもある。
代表車種
タクシー
- トヨタクラウンセダン
- トヨタクラウンコンフォート
- トヨタコンフォート
- 日産NV200バネットタクシー
ただし、近年、タクシーの多様化(介護タクシー→軽自動車、小型タクシー→日産キューブ、乗り合いタクシー→大型1BOX)と運転手の趣味(個人タクシー→セドリック/グロリア、トヨタプリウスなど)により、タクシーは多種多様な車種が存在する。
ハイヤー
- トヨタセンチュリー
- トヨタセルシオ
- トヨタクラウン
- レクサスLS/LS L
- 日産プレジデント
- 日産フーガ
- 三菱デボネア
- 三菱クラウディア
外国車
- メルセデスベンツ
- BMW7シリーズ
外観の特徴
- タクシー→派手な塗装のものが多い
- ハイヤー→黒一色
これは、関東以北と関西以西で分かれるのだが、関東以北のタクシーは派手な塗装をしているものが多い。やはりタクシー会社のアピールが目的と思われる。対して関西以西の場合、黒一色や白一色のものが多く、こちらはセミハイヤーとして、冠婚葬祭などにも対応できるようにとの配慮。尚、近年関東以北でも黒一色の”黒タク”が増加傾向にある。
という違いがあります。
ハイヤーって和製英語?!
ハイヤー(hire)とは英語で賃借、賃貸の事。英語圏の国で「ハイヤー」といっても通じません。英語圏の国で「TAXI」ではなく「hire(和製英語)」を使いたいとおもったら、
リムジン(limousine)
と呼ばなければなりません。リムジンというと、日本では大型バス位の長さのゴージャスな車を想像してしまいますが、リムジンにもピンからキリまであり、トヨタセンチュリーのような高級国産車からベンツSクラス、BMWの7シリーズなどのような外国産車もリムジン用として使われます。
関西の黒タクについて
関東のハイヤー保有台数が3800台余りなのに対し、関西のハイヤー保有台数は200台余り。保有台数にこれほどの差が出るのは、関西には「黒タク」が多いことが原因とか。
(最近では日本交通のように関東でも”黒タク”を走らせているところが増えてきました。)
黒タクって、黒一色に塗られたタクシーの事。会社名のステッカーも含めて、外装がごそっと取り外しできるようになっており、タクシーが、あっという間にハイヤーに変身! 黒一色なので、冠婚葬祭にも使えるし、料金も関東のハイヤーに比べて安い。関西の人の合理的な考えがよく出ていますね。それと、関西のタクシーの運転手はいい人が多い。ハイヤーに鞍替えしても恥ずかしくない人柄を持ってるんですね。だから黒タクみたいな形態が成り立つのでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか? 管理人も東京生活時代は、タクシーにはよくお世話になったもんです。仕事で終電逃しちゃうと、どうしても必要なんですよね。夜中4時ころまで走ってくれますもんね。ハイヤーは一回だけ乗ったことがあります。仕事関係で。
- 後席の広さ
- 礼儀正しい運転手さん
- 高級車ならではの「ドポ」っという重いドアの音
乗り心地は最高でしたが、普段乗り慣れてないものだから、妙に落ち着かなかった覚えがあります。
今は地元でマイカー(といっても軽です。田舎は車がないと動けませんから必要最小限の出費で^^;)をもつようになって、すっかりタクシーは使わなくなっちゃいましたが、駅前に行くと、黒塗りのタクシーが横付けされてる光景をよく見かけます(ちなみに東北です)。
「ほぉ、ウチの田舎はまだタクシーが生き残ってるんだな~。黒塗りってやっぱり高級感あるな~。」
とか思いながら見ております。
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