「ドライブレコーダーの映像なんか証拠にならないよ。何のためにつけるの?お金の無駄。」
とドライブレコーダーを否定する人がいる一方で、ドライブレコーダーの装着率は年々高まる傾向にあります。
未だに我々の頭に鮮烈に残っている2017年6月の「東名高速あおり運転、一家殺傷事故」。
あおられた被害者夫妻が尊い命をなくし、後ろに座っていた子供も心に深い傷を負ったとされる”あの事故”ですね。
あの時、警察は、付近を走っていた車のドライブレコーダーの映像を集めまくったと言われています。
さて、いま現在、ドライブレコーダーの映像というのはやはり証拠にならないのか?
先日たまたま、ドライブレコーダーの事に関して「別件で」某県警本部に問い合わせました。
そして、返信いただいた内容の中に、興味深い事柄が含まれいていたので、その内容を公開しつつ、ドライブレコーダーの映像の証拠能力について検証して行きます。
どうぞお付き合いください。
ドライブレコーダーの映像は証拠にならないのか?なるのか?
結論を言うと
- ケース バイ ケース
というのが実際の所です。
“モヤッ”としますよね…。納得いかないですよね…。
でも、実際そうなんです。次の章で、県警本部からのメールの内容をお見せしますが、かなり慎重に言葉を選んでいるのが分かります。
それだけ微妙な問題と言う事ですね。では、ご覧ください。
ドライブレコーダーに関して県警本部に聞いてみた”メール”の内容とは?
それではさっそく、県警本部からの回答を載せます。原文そのままです。2018年1月6日に管理人が問い合わせました。尚、どこの県警本部からのメールかは、ここでは伏せさせていただきます。
1月6日付けのメールを受信しました。メールにて返信させていただきます。
まず始めに、証拠能力とは裁判での『証拠としての資格』をいい、証明力と呼ばれる『証拠としての価値』とは意味が異なること、裁判で証拠能力が認められる(=証拠としての資格があると認められる)ための手続きは刑事裁判と民事裁判とで異なることを述べさせていただきます。
また、誤差の基準に関しては明確なものがあるとは認識しておりませんが、証拠能力の話題に限らず、時刻はできる限り正確であった方が良いと考えます。
最後に、事故映像に関するDVD-Rへのコピーや原本保管の件につきましては、当事者同士または各人が加入されている任意保険会社の担当者同士ないしは弁護士等を通じての話し合いなどにより決められるものと思われます。
今後とも警察活動に対する御理解と御協力をよろしくお願いいたします。県警本部からのメール回答より引用
ちなみに、管理人がどのような質問をしたのかも載せます。こちらも原文そのままです。
緊急の要件ではありませんが、お聞きしたいことがありましてメールさせていただきました。
お聞きしたい事とは「ドライブレコーダーの証拠能力」に関してです。私の車のドライブレコーダー、安物なために、しょっちゅう内蔵の時計が狂います。万が一、事故を会った場合、
・時刻のあっていないドライブレコーダーの証拠能力はないのでしょうか?
・また、何分ぐらいの誤差までは認められるという基準があるのでしょうか?
・そして、事故にあった際、ドライブレコーダーの”媒体(SDカードなど)”を、当事者で分け合う事になると思うのですが、そうすると、私の手元に証拠の映像の原本が残らないことになります。その場合、
・DVD-Rなどにコピーしたものを分け合い、原本は私が持つと言う事は可能なのでしょうか。万が一に備えて、知っておきたいと思います。
何卒ご回答宜しくお願いします。
管理人が県警本部へメールで問い合わせた内容より引用
読んでいただければわかる通り、メインで聞きたかった事は、
「ドライブレコーダーの内臓時計がどのくらい狂っていたら、証拠能力を持たなくなるか?」
です。が、返信には「証拠の定義」の部分にまで踏み込んで答えてくださいました。県警本部様ありがとうございます。
それで、また読んでいただければ分かる通り、かなり慎重に言葉を選び、
「ドライブレコーダーの映像が証拠にならないのか?、なるのか?」
に関して明言を避けています。
ただ、県警本部からの文面そのままでは分かりにくいと思いますので、できるだけ県警本部の見解に忠実に分かりやすく説明しなおしたいと思います。
- 最終的に「ドライブレコーダーの映像を証拠として採用するかの決定権」は裁判所にまかされている
- 警察が現場にて「ドライブレコーダーの映像を確認する作業」は、事実確認以上の価値は持たない
- 裁判が、「刑事裁判」と「民事裁判」両方で行われた場合、ドライブレコーダーの映像を証拠として取り上げてもらうには別々の手続きがいる
となりますね。
ドライブレコーダーの映像を証拠として採用されるためにやっておきたい4つの事
ここでは、ドライブレコーダーの映像を証拠として採用されるためにやっておきたい4つの事を書いていきます。それは、
- ドライブレコーダーの時刻を常に正確にしておく
- ドライブレコーダーを「音声も録音できる設定」にしておく
- ドライブレコーダーの記録媒体をいつでも再生できるようにしておく
- 有利・不利な証拠に関わらず、”提出する以上”はドライブレコーダーの映像全てを提出する覚悟を持つ
です。詳しくいきましょう
ドライブレコーダーの時刻を常に正確にしておく
特に安物のドライブレコーダーに言えることですね。結構ドライブレコーダーの内臓時計が狂います。
管理人が1台目として使っていたドライブレコーダーは半年で10分は狂うシロモノでした。
前に挙げた、県警本部からの回答メールでも
また、誤差の基準に関しては明確なものがあるとは認識しておりませんが、証拠能力の話題に限らず、時刻はできる限り正確であった方が良いと考えます。
県警本部からのメールより引用
とありますので、ドライブレコーダーの内臓時計はこまめに合わせておくことがベストですね。
ちなみに、多少高くはなりますが、「GPS機能付き」のドライブレコーダーですと、衛星からの信号で時刻を自動補正する機能がついているので便利です。
一応価格の目安をお知らせするために、リンクを貼っておきます。ご覧ください。
気になるカーショップでの取り付け工賃に関しての記事はこちらをご覧ください。
⇒ドライブレコーダーの取り付け費用っていくら?持ち込みの工賃も調査
ドライブレコーダーに「音声も録音できる設定」にしておく
実際、ドライブレコーダーの映像を見てみると分かるんですが、「車のナンバーまできちんと撮れるほど性能のいいドライブレコーダー」って、意外に少ないんですよね。
特に夜間の映像では、数万円クラスのドライブレコーダーでもなかなか撮れていないものです。なので、ドライブレコーダーで「音声を録れるように設定して」おいて、
いざという時は、「該当の車のナンバーを車内で叫ぶ!」という行為が有効になります。
ドライブレコーダーの記録媒体をいつでも再生できるようにしておく
今、多くのドライブレコーダーの記録媒体として「Micro SDカード」が使われています。が、Micro SDカードを直接させるパソコンなどのハードってなかなかないのが現状です。
一番いいのが、「Micro SDカード」をSDカードの規格にできるアダプターですね。SDカードを挿せるパソコンは多いので買っておきましょう。ダイソーで108円(税込)で手に入りますし(ケース付き)、
画質も必要充分です。
ダッシュボードに1個忍ばせておくといいですね。
有利・不利な証拠に関わらず、”提出する以上”はドライブレコーダーの映像全てを提出する覚悟を持つ
もしドライブレコーダーの映像を提出して、白黒はっきりつけたいという思いがあるのなら、
ドライブレコーダーの画像全てを提出する覚悟を持つ事が必要になります。
参考までに、ドライブレコーダーにあなたにとって不利な証拠が映っていた場合、必ずしも提出の義務はありません。
その時は、ドライブレコーダーの映像全てを提出出来ないことになります。
もし、不利な証拠「だけ」を隠すような真似をして、示談なり、裁判なりになった時にそれがばれると、
「あいつの証拠はアテにならない。ドライブレコーダーのデータはデジタルデータなので、いくらでも改ざんできるし、実際不利な証拠を隠そうとしたじゃないか!」
と相手に言わせるスキをを与えてしまうことになりますし、裁判になった場合は裁判官の心証を悪くする事にもなります。
あなたが加害者の立場だった時はもちろん、被害者であった時もそうですね。
加害者の任意保険の担当者や加害者側の弁護士が「ヤリ手」だった場合、かなり不利な立場に追い込まれる事もあり得ます。
そうならないためにも、証拠としてドライブレコーダーの映像を提出するのなら、不利な証拠も含め、すべてを提出する覚悟は持っていた方が良いでしょう。
ドライブレコーダーの証拠映像 どう扱うのがベストか?
さて、
- 事故の当事者(被害者または加害者)としてとか
- 事故の目撃者としてとか
で、警察からドライブレコーダーの映像提出を求められたとします。
でも、マスターの記録媒体である、Micro SDカードを渡してしまうと、あなた自身の手元に証拠の記録が残らない事になりますよね。
その場合どうすればいいのか? ここでも県警本部からのメールを引用させていただきます。
事故映像に関するDVD-Rへのコピーや原本保管の件につきましては、当事者同士または各人が加入されている任意保険会社の担当者同士ないしは弁護士等を通じての話し合いなどにより決められるものと思われます。
県警本部からの回答メールより引用
つまり、真っ先にあなたが加入している「任意保険会社の担当者」に連絡を取り、ドライブレコーダーの証拠映像をどう扱えばいいかを聞きましょう。
警察庁・国土交通省のドライブレコーダーに対する見解が”証拠にならない”説を後押ししていたりする
おまけ情報として、なぜ、「ドライブレコーダーの映像が証拠にならない」という人が未だにいるのか? の大元をたどっていくと、
管理人としては、関係省庁である、
- 国土交通省
- 警察庁
のドライブレコーダーに対する見解が、「証拠にならない説を後押ししている」感じを持たせていると思えます。
確かに近年、国土交通省・警察庁は「ドライブレコーダーの取り付け」を推奨しています。ですが、
「ドライブレコーダーを付けることによってあなたの運転が記録されるので、いい加減な運転ができなくなり、安全運転につながりますよ~。」
とは言っていますが、
「ドライブレコーダーの画像が証拠になりますよ~。」
とは一言も言っていないんですね。
詳しくは、こちらのページを見て下さい。
⇒映像記録式ドライブレコーダー・デジタル式運行記録計を活用しよう 国土交通省
ここらへんが、ドライブレコーダーつけない派の人の「ドライブレコーダーの映像は証拠にならない」説を後押ししているんじゃないかと、管理人個人的には思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。
管理人がたまたま県警本部に問い合わせていたメールから、
- ドライブレコーダーの映像が証拠にならないのか?なるのか?
- 証拠として採用してもらう為にしておく事
等について話してきました。
管理人、先日、2台目のドライブレコーダーを取り付けに行ってきました。1台目のドライブレコーダーが寿命を迎えたので。
時間が取れなくて3日位「ドライブレコーダーなし」での運転をしましたが、…怖かったです(((;゚д゚)))
確かに、ドライブレコーダーの映像は100%証拠にはならないかもしれません。でも、「ないよりはあった方がまし」なのは確かなわけですから。
管理人としては、今やドライブレコーダーなしの車には怖くて乗れない状態です(汗)
参考にして頂ければ幸いです。
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