私、実は、うつ病経験者です。というか今でも月に一回は心療内科に行って診てもらい、薬もらって飲んでます。今回の記事はその経験から思ったことを書かせていただきたいと思います。
うつ病の症状、うつ病チェック、処方箋みたいなサイトはゴロゴロあるし、そちらの方が、詳しいことはいくらでも書いてあります。
同じような事を書いてもしょうがないですしね。ここは、かかった経験者としての立場から、一部願望も織り交ぜて、
「あなたの周りの親しい人がうつ病にかかったらどうする?」
という視点で書いていきたいと思います。どうぞお付き合いくださいm(_ _)m
症状が軽いのなら、放っておく
「私(俺)うつ病だって…。」
うつ病の始まりって「私(俺)”うつ病”だって…。」なんですよね。誰かに指摘されて初めて気づく。自分でうつ病だと気が付いてさっさと心療内科に一直線という人は少ないです。なぜなら、
「自分がうつ病にかかるなんて?!」
って信じられない思いからスタートしているから。
かかった本人が認めたくないんです。自分がうつ病にかかったなんてことに。実際私の周りでも、自分から進んで心療内科の門をたたく人は少なく、体の不調や家族、周囲の人の遠回りなアドバイスによってやっと心療内科の門をたたく人が多いのですから。
なので、すでに本人が心療内科に通い始めているのなら、十分うつ病の自覚はあるので、あんまりうつ病の事
- 大丈夫?
- 体重くない?
- 苦しいことがあったら言って。
など、一見体調を気遣っているような言葉は言わない方がいいです。うつの人には他人の気遣いがものすごいプレッシャーだったりするんです。
「じゃあどうすればいいの?」という問いになりますが、一番いいのは、普段通りに接することです。病人と話しているんじゃなく、普通に健康な人と話しているんだという感覚で接する。
普段通りに接するとは
簡単に言うと
- 過剰に気遣わない
- 励まさない
- 説教しない
の3つでしょうか。
うつは確かに病気です、ですが、風邪の時のように、気遣われると、うつにかかった人は、「悪いな…」と逆に罪悪感を感じてしまうものなのです。
なので、症状が重く、トイレにも這ってじゃないと行けないというのでもない限り(この場合はさすがに手助けが必要になりますが)、布団やベッドで休息しているなら、特に声をかけずに放っておく。
布団やベッドから這い出してきて、お茶の間やリビングでのんびりテレビのニュースでも見てるようなら、特に声をかけられたりしない限り放っておく。
あ、一緒のテーブルについて、お茶を出すくらいは大丈夫ですよ。もっともテレビを見れる状態ということはかなり調子がいいということですが。うつの症状が重い時はテレビなんか見れません。
この時に「おお!!部屋から出てきたか。少しずつ良くなっているのかな」などと励ましの(つもりの)声をかけるのは厳禁です。
もちろん「何にもしないで、布団にこもってばかりで…、おまえって奴は!!」等という説教じみたセリフは、もっとも言ってはいけないものです。
本人はいやってほど罪悪感を感じているんです。動けるものなら動きたいんです。でも、体が言うことを聞かないのはもちろん、心もかなりデリケートになっている。布団やベッドで泣きながらブルブルふるえるのがやっとなんです。
家族、親戚、ご近所さんが何か言ってくるわけじゃないのに、家族、親戚、ご近所さんがこぞって自分を責めているように思える。私ももっとも症状が重かったときは、そんな錯覚に襲われて、ベッドから出るのが怖かったですね。
でも、放っておいて大丈夫?
そういや、ウチの家族、うつになった私にどう接してる? ふと、それを振り返ってみると、放っとかれてますね。放っとかれているというか、「放っておく」という気遣いをされている。
- トイレに行くときも、こちらの事を気にせずにテレビを見ている。
- 食事は用意してあって、「好きな時に食べなさい」状態。
- 基本、話しかけてこない。
これをされている私はというと、ありがたいです。こちらも気を遣わずに済むから。本当は家族全員気を遣ってくれているのかもしれないけど、気を遣わないふりをしてくれている。
「悪いなぁ…」
と思いながら、今はその状況に甘えさせてもらってます。
ぶっちゃけやられていやだった事
- うつ病非難
- 表に連れ出される事
- 頻繁な連絡
この3つ。私の場合、家族、親戚はある程度わかっててくれたので、放っておいてくれたのですが、友人が放っておいてくれませんでした…orz
- うつ病非難
「うつ病なんて気の持ちようでしょ。誰だって気分の沈む時はあるよ。それを病気って…、甘えてるんじゃないの?」
ちょうど同窓会があって旧友に会う機会があったのですが、うつ病の姿を見られたくなくて、1次、2次会は欠席したんですが、3次会に友人Aから連れ出されて「今、何してるの?」と聞かれたときに
「いや…俺、今、実はうつ病で…」と言った答えに対して別の友人Bから出た言葉です。
反論する気力もなく、言い返せずに黙って聞いていましたが、「ここまでうつ病に無知な奴がいたのか…それとも知ってて言ってるのか…」と心の中ではあきれ返っていました。
- 表に連れ出される事
これは友人Bがやった事。
「家にこもってるから、調子悪くなるんだよ! 外の空気を吸え!!」といわれ半ば無理やり車で連れ出される。
この友人B、学生時代はいわゆる”体育会系”で、「ちょっとの風邪なんぞ、気合で何とかなる!」という考えの持ち主。ましてや私とはちょっと”悪友”の仲で、私の弱みなどを聞くと、喜んでその弱みを突いてくる感情の持ち主。私がうつ病だと知った時には、説教しながらニヤけてました。
- 頻繁な連絡
これは友人C、同窓会で、連絡が来るのもなるべく避けたかったので、メルアド交換はしないつもりだったのですが、メルアド交換のコーナーが来てしまいまして、メルアドをさらすことに。翌日から、
「大丈夫?」
「体重くない」
「相談できることがあったら言ってね」
とか、雑談というのでしょうか、リラックスさせてくれるために言ったのでしょうが、その日起きた出来事とか、頻繁に連絡してくるんです。
気持ちはありがたいんですが、携帯メールが来た時のバイブ音にすら神経をすり減らす身としては、正直、苦しかったです。返信をしないといけないというプレッシャーもありましたしね。
「気持ちはありがたいんだけど…今、メールやり取りするのもきついんだ…」
といって、ご遠慮いただきました。
最後に
うつ病の人と接する人には、本当に同情します。最初のうちは、うつ病の本人にどう接していいか分からないですもんね。何度も言ってしまうんですが、うつ病にかかった本人から言わせてもらうと
放っておいてもらう
のが、一番ありがたいんです。かまわれると罪悪感を感じるし、説教されると「消えてしまいたい」と思うし。うつ病の家族を抱えた身としてはつらいでしょうが、ここは堪えて、放っておいてあげてください。
うつ病から立ち直りたいとは、うつ病になった本人も願っている事。必ず自分の力で立ち上がりますから。
コメント